ドイツ映画『グライヴィッツ事件』
ゲアハルト・クライン監督作品グライヴィッツ事件ヴォルフガング・コールハッセ脚本1961年ドイツ語・モノクロ70分 日本語字幕付 グライヴィッツ事件とは1939年、当時ドイツ領であったグリヴィツェ(現ポーランドでグライヴィッツはドイツ読み)にあるラジオ局に親衛 隊がしかけた自作自演の襲撃事件。親衛隊はこれを反ドイツ系ポーランド住民の仕業に見せかけた。 当時、このグライヴィッツ襲撃事件以外にもポーランドとドイツの国境付近で複数の放火事件が起きており、すべてがポーランド侵攻に口実を与 えるための「ヒムラー作戦」であった。事件の真相は、ニュルンベルク裁判でのSS少佐アルフレート・ナウヨックスの供述で明らかになってい る。 この謀略事件をもとにヒトラーはポーランドに対する「自衛権行使」を主張し、ポーランド侵攻を発動して第二次世界大戦が始まる。 映画はナウヨックスの証言を忠実にドラマ化しながらも、娯楽作品としても十分楽しめるように作られている。 監督のゲアハルト・クラインは、ティーンエイジャー男女の引き起こす事故の顛末をモノクロながら美しい画面で描き出した『Berlin, Ecke Schoenhauser』(1957)の監督としても有名。また、脚本のヴォルフガング・コールハッセは名監督コンラート・ヴォルフの『Ich war neunzehn』をはじめ、数多くの優れた脚本を手がけるなど、多作である。 |