オーストリア市民が語る戦争の記憶と傷跡のドキュメンタリー
戦争の彼方DVD 戦争の彼方


 「戦争の彼方」(Jenseits des Krieges, East of War) はウィーンで1995年10月18日から11月22日まで開催された写真展、『絶滅戦争:ドイツ国防軍の犯罪1941ー 1944』会場において、展示を見にやって来た市民 や元兵士たちに対して行なわれたインタヴューを記録した映画である。撮影は5週間で総数200人、テープ46時間分にのぼったが、映 画化に際してはその中から112分が抽出され、効果音や製作者のコメントなどはいっさい加えられていない。

 製作者は展示を見る人々に「当時どこにいたのか、何をしていたのか、なぜ見に来たのか」、という単純な質問を繰り返す。すると 人々 は50年の沈黙を破って、さまざまな個人史をカメラの前に吐露し始める。「この展示のとおりの虐殺を目撃した」「隣人が急にユダヤ人 と付き合わなくなった」「スターリンとナチスとどちらがより極悪か」「私の父や叔父が犯罪者だと言うの?」「夫婦でソヴィエトに 政治 亡命し、夫は処刑された」「君主制支持でナチスには反対だった」「窓から飛び出して隠れた」「殺されるのを黙って見てた」「個人の罪 という考えには反対だ」「強制収容所の事は戦争中から知っていた」「僕らは皆、同罪なんだ」・・・。  

 戦争体験は、個々の置かれた状況や思想信条によって様々である。当時は否応なく究極の選択を迫られ、戦後はその忌まわしい記憶 と折 り合いをつけて生きてきたごく普通の人々。ある者はその記憶にさいなまれ続け、ある者は自身の振舞いに正当性を見出そうとし、ある者 は記憶自体を憎悪する。この映画は、過酷な時代を生き延びた人々の魂の軌跡を覗き込む貴重なドキュメントである。

 なお、映画の舞台となった写真展はハンブルグ社会研究機構のプロジェクトである『20世紀における暴力と破壊』の一環として企 画さ れ、1995年から1999年にかけてドイツとオーストリアの33都市で開催された。しかし当時の展示に対しては賛否双方の立場から 激しい論争が沸き起こり、展示そのものの信憑性が問われる事態となったため、研究機構はその後内容の不正確な点を改め、 2001年からは訂正版の展示を行なっている。

【ルーツ・ベッカーマン監督】ウィーン出身の映画制作者・作家。ウィーン大学でジャーナリズムと美術史を専攻し、テルアビブとニュー ヨークに滞在した後、複数の週刊誌に執筆。1978年映画配給会社設立に参加し、在籍中に映画制作を始 める。1985年独立、 数々の 記録映画を製作。

ルーツ・ベッカーマン・プロダクション制作
日本語版企画制作:ヨハンナ比較文化研究所
officejohanna*gmail.com

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俺たちは招かれたんじゃない。あれは侵略戦争だったんだ。

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当時は全然違ったふうに考えてたの。どうしたらいいのかしら。

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手をあげているロシア人も撃たれてしまった。

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私の部隊は罪を犯していない。

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進軍の最中に、人が集められて殺される銃声を聞いた。

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英国陸軍に志願した。両親はラトビア付近の森で殺された。

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ソヴィエト連邦に政治亡命し、そこでムッソリーニから逃げてきた夫に出会ったの。

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社会民主党員でナチなんて論外だったのに、逃げようがなかった。展示を見てはずかしさでいっぱいだ。

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戦争中に収容所を見たのに、みんなあんたみたいに「見てない」って言うんだ

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ポーランドで自治会館にユダヤ人を集めて放火するのを見たが、私は何もできなかった。

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犯罪だから誰も議論しないのさ。

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1939年にヒトラーはユダヤ人の根絶を明言したんだ。知らないなんておかしいよ。

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